医療現場の設備や作業条件が分かれば、再処理手順は決まるのでしょうか。
それだけでは、まだ決まりません。どのような汚れが付くのか。どこに汚れが残りやすいのか。製品の材質や構造は、どの処理に適しているのか。現場の情報と、メーカーが把握する製品特性を合わせて考える必要があります。
この章では、それらの情報から、手順の各条件を具体化していきます。
接触部位から、必要な処理の水準を考える
まず、意図する患者との接触部位に基づき、スポルディング分類のクリティカル、セミクリティカル、ノンクリティカルのどれに該当するかを確認します。この分類は、必要な消毒・滅菌の水準を考える基礎になります。[2]
ただし、分類が決まれば、具体的な洗浄方法や処理条件まで決まるわけではありません。汚れの性状、機器の構造、現場の作業条件も確認する必要があります。
必要な処理の水準を決めることと、その水準を満たす手順を組み立てることは、つながっていますが、同じ作業ではありません。
使用後の状態から、手順の前提を具体化する
臨床で使われた後の状態には、手順を考えるための情報があります。例えば、次のような問いです。
- 使用後、どのような状態で手術室や処置室から回収され、どのような汚れが付いているか。
- 回収されてから洗浄を始めるまでに、どのくらいの待ち時間があるか。
- どのような製品と一緒に再処理されることが多いか。
- 洗浄後に汚れが残っていないか、製品の表面状態はどうなっているか。
- 滅菌前の乾燥後に、水分が残ることはないか。
これらは、現場の状況を知るためだけの質問ではありません。どの汚れを対象にするのか、どのような状態から処理を始めるのか、各工程で何を確認するのかを具体化するための情報です。
得られた情報と、材質・構造・形状などの製品特性を組み合わせて、手順の条件を定めます。
洗浄方法は、組み合わせの理由まで考える
用手洗浄、超音波洗浄、自動洗浄消毒装置(Washer-disinfector)による処理。どの方法を、どの順序で組み合わせるかは、汚れの性状、機器の構造、それぞれの方法への製品適合性に基づいて決めます。
用手洗浄の前に浸漬する場合も、その目的と実施順序を明確にします。工程を追加すれば、その分だけ作業が増えます。必要性に加え、作業負担、操作ミスの可能性、反復処理による製品への影響も考える必要があります。
工程の数ではなく、その組み合わせが対象製品に必要で、実施可能かどうかを見る、ということです。
薬剤は、洗浄効果だけでは選べない
薬剤を選ぶ際には、汚れに対する洗浄効果と、対象製品への適合性の両方を確認します。
濃度、温度、接触時間などの条件を定め、繰り返し処理したときに、材質、表面状態、接合部、機能へどのような影響があるかを評価します。すすぎによる薬剤残留の管理も必要です。[2]
併せて、医療現場でその薬剤や設備を利用できるか、ほかの機器と一緒に処理できる条件かを確認します。
洗浄効果、製品適合性、現場での実施可能性。どれか一つだけでなく、これらを関連づけて条件を定めます。
この章で、持ち帰ってほしいこと
再処理手順は、洗浄方法や薬剤の名前を選ぶだけでは完成しません。
患者との接触部位、使用後の汚染状態、製品の材質や構造、現場の作業条件を整理し、方法の組み合わせと具体的な処理条件へつなげる。その条件を選んだ根拠まで明確にすることが、バリデーションの計画につながります。
次章では、洗浄・消毒・滅菌が、それぞれ何を担っているのかを整理します。