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Melerdis Knowledge — Series 02

Series 02 · 再処理バリデーションをはじめから第4章

洗浄・消毒・滅菌は、それぞれ何を担うのか ― 工程ごとの目的と、確認すべきこと

改訂

洗浄してから消毒する。あるいは、洗浄した後に滅菌する。再処理では、いくつかの工程が組み合わされます。

では、後の工程で消毒や滅菌を行うなら、前の洗浄は何を担っているのでしょうか。

各工程の役割を分けて考えると、なぜ手順を一連の流れとして組み立てる必要があるのかが見えてきます。

洗浄は、汚れを除去し、後工程の前提を整える

血液や組織片などの汚れは、機器の表面だけでなく、内腔、ヒンジ、部品の接合部にも残ることがあります。用手洗浄では、ブラシの種類、操作方法、処理時間などが結果に影響します。そのため、作業者が再現できる具体的な指示が必要です。

汚れが乾燥・固着すると、除去しにくくなることがあります。使用後の乾燥や固着を抑え、適切な時点で洗浄することも、手順の中で考えます。3

浸漬時の温度は、薬剤の働きだけでなく、汚れの性状にも影響します。タンパク質を含む汚れは、加熱条件によって変性・固着し、除去しにくくなるおそれがあります。特定の温度を一律の境界とせず、汚れ、薬剤、接触時間、機器の特性を踏まえて条件を定めます。3

汚れの残留は、消毒剤や滅菌媒体が必要な部位に接触することを妨げる場合があります。洗浄による汚れの除去は、その後の消毒・滅菌を有効に行うための前提です。3

洗浄は、バイオバーデン、すなわち製品上または製品内に存在する生存微生物を低減するうえでも重要です。ただし、その低減だけで滅菌の達成を判断することはできません。洗浄状態と滅菌工程の成立は、それぞれ確認します。13

必要な消毒・滅菌の水準は、使われ方によって変わる

すべての再使用可能な医療機器に、滅菌が必要なわけではありません。前章で触れたスポルディング分類では、意図する使用方法と患者との接触部位から、必要な処理の水準を考えます。

通常無菌の組織や血管系に接触するクリティカル機器には、滅菌が必要です。粘膜や損傷した皮膚に接触するセミクリティカル機器には、少なくとも高水準消毒が必要です。健常な皮膚に接触するノンクリティカル機器では、用途に応じた洗浄と低水準消毒などを検討します。2

単に血液が付着するかどうかではなく、どのように使われ、どこに接触する機器なのか。その前提に基づいて分類します。

消毒では、方法と条件に応じた根拠を確認する

熱水消毒では、温度と時間による消毒作用を評価する指標として、A₀値が用いられます。A₀による評価と微生物学的な評価については、対象機器、販売先、評価目的に応じて、必要な根拠を確認します。対象市場で求められる評価方法や資料を確認し、計画にどう含めるかを検討します。8

薬液による高水準消毒については、FDAがクリアランスを与えた液体化学滅菌剤・高水準消毒剤の一覧を公表しています。米国向けの手順では、対象用途に適した製品であることに加え、機器への適合性と、濃度・温度・接触時間などの表示条件を確認します。9

一覧に掲載されていることだけで、自社製品への適合性が保証されるわけではありません。消毒剤や方法を選ぶことと、対象機器に適用する条件の妥当性を確認することを、分けて考える必要があります。

滅菌は、温度と時間だけでは説明できない

医療現場で使われる滅菌方法には、蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、過酸化水素を用いた滅菌などがあります。方法によって、適用できる材質・構造、必要な設備、処理条件は異なります。対象機器と使用環境に適した方法を選びます。

耐熱性・耐湿性のある機器では、蒸気滅菌が広く用いられます。蒸気滅菌では、必要な温度と時間に加えて、対象物に飽和蒸気が適切に接触することが重要です。4

そのため、機器の構造、包装、積載条件、空気除去、蒸気の接触などを考慮し、対象物の必要な部位で条件が成立することを確認します。温度と保持時間だけを示せば、すべての製品で同じ結果になるわけではありません。4

SALは、単純な微生物数の減少率ではない

無菌性保証水準SAL:Sterility Assurance Level)は、滅菌後の製品に生存微生物が存在する確率を表す概念です。例えば、SAL 10⁻⁶は、その確率を100万分の1の水準で表したものです。微生物数を単に100万分の1に減らすこととは異なります。5

したがって、134℃・3分という条件だけをもって、あらゆる製品でSAL 10⁻⁶を達成すると説明することはできません。対象機器と処理条件の組み合わせで、滅菌工程が成立することを裏付ける必要があります。45

処理時間を長くすれば、常に適切になるわけでもありません。微生物に対する有効性と製品への影響の両方を検討し、検証した条件で工程を実施し、定めた管理・判定基準に基づいて運用します。

最終製品の一つひとつを無菌試験で確認することはできないため、滅菌工程のバリデーションと日常管理が重要になります。洗浄による汚れの除去と微生物負荷の管理を前提に、対象機器に適した工程が成立することを確認します。45

この章で、持ち帰ってほしいこと

洗浄・消毒・滅菌は、一つの処理を別の言葉で表したものではありません。

洗浄で汚れを除去し、その後の工程が有効に働く前提を整える。機器の使われ方に応じて必要な消毒・滅菌の水準を考え、機器と方法に適した条件が成立することを確認する。それぞれの役割を区別しながら、一連の手順としてつなげます。

次章では、その手順について、何をどのような根拠で裏付けるのかを、バリデーションの計画と結果の判断から考えます。